オペラ愛好家のゆけった です。

オペラ歌手というとバリバリのクラシック音楽家で、声が響くように大柄、そして棒立ちですまして歌っているイメージがありませんでしょうか。

今やオペラと言えど、ライブ配信は当たり前の時代。オペラ歌手もインスタなどのソーシャルメディアで自身の宣伝に勤しんでおり、常にスタイリッシュさを求められています。

そんな昨今のオペラ歌手の中でも、ひときわ注目を集めているのが、イタリア人テノール、ヴィットリオ・グリゴーロです。

幼い頃にバチカンのシスティーナ礼拝堂聖歌隊に所属しており、13歳のときに三大テノールの一人、ルチアーノ・パヴァロッティと「トスカ」の公演で共演しました。今では、世界の名だたる歌劇場で活躍を続けるテノールです。

オペラ歌手としての才能にとどまらず、クイーンなどのロックやポップスも歌います。飛行機の操縦もしますし、かつてはカーレーサーであったり、ワインの醸造も手がけるなど、とにかく興味関心が広範で、いわゆるオペラ歌手のイメージとはかなりかけ離れた存在です。

婦人靴やドレスのデザインに携わっただけでなく、公演の合間に絵筆を握るのも至福の時間だと言い、クリエイティビティにあふれています。



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グリゴーロ氏は現在、本日6月15日から開幕する、イタリアはパレルモ・マッシモ劇場のオペラ公演のために来日中です。

この機会に、趣味で描いている絵画を日本の子どもたちのために役立てたいとの氏のかねてからの希望により、6月12日、東京・六本木の国際文化会館でチャリティイベントが開催されました。オペラ友だちのご縁で、私も参加してきました。

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グリゴーロ氏の絵画作品4点がオークションにかけられ、集まった全額が「特定非営利活動法人 日本こども支援協会 」に寄付されました。同団体は、里親へのサポートを通じて、親と離れて過ごす子どもたちの成長を支援しています。

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花を育てるのに水をやらなければならないように、子どもたちを育てるにも情熱が必要で、毎日手をかけてあげないといけません。


とグリゴーロ氏は語りかけます。


彼はお茶目な性格の根っからのアーティスト気質で、真のエンターテイナーです。当日は歌はなかったものの(オペラ公演のために喉を大事にしなければならないので)、集まった支援者たちをトークで楽しませて盛り上げつつ、「未来への希望」である子どもたちのために何かできたことを心底喜んでいるようでした。


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作品のキャンバスにはどれも切れ込みが入っており、人の心の痛みを表しているといいます。しかし、命の象徴とも言えるポジティブなモチーフも同時に描き込んであり、どれもエネルギーに満ち溢れた作品でした。


今年は1月、6月に続き、9月にも三度目の来日が予定されています。次回9月の来日時にも、自身のアート作品で何か役立つことができないか検討中だそうです。




グリゴーロ氏が出演する、本日6/15(木)、東京文化会館でのマッシモ劇場「ラ・ボエーム」のオペラ公演チケットは販売終了していますが、6/17(土)には若干の残席があります。ご関心のある方は、筆者が書いたこちらの記事も参考にされて、お早めに入手されてください。



それも間に合わないという方は、9月のローマ歌劇場来日公演の「トスカ」をご検討ください。こちらも、グリゴーロ氏のエネルギッシュな歌と演技が楽しめること請け合いです。



「トスカ」では、画家で革命家のカヴァラドッシ役を歌います。絵筆を持つオペラ歌手であるグリゴーロ氏にこれ以上合う役もないでしょう。これは見逃せません。

これからも多才なオペラ歌手、ヴィットリオ ・グリゴーロにご注目ください。まずは是非、名前を覚えてくださいね。



※オペラに関して、新ミモレ編集室ではあまり書かないと言っているそばから、今週は日本の本場のオペラが戻って来たオペラ・ウィークにつき、いきなり例外的に書いております。イベントの写真の使用許可は主催者よりいただいております。