日常の中には、思いもよらない物語がひそんでいる。
同じ風景、同じ出来事でも、立つ場所や視点を少し変えるだけで、まるで別の見方が立ち上がる。
そして富山の寿司もまた、そんな「見方によって世界が反転する」存在なのだ。

——寿司といえば、富山。
この一文が、確かな実感として胸に落ちてくる旅へ。

2025年11月第3日曜日は「寿司といえば、富山」の日として新たに制定された。
富山湾の魚介、県産食材、地酒、器、工芸、そして観光。富山が誇る多彩な魅力を、“寿司”という入り口から立体的に体験する、特別な1か月。官民一体となり展開されるのは、飲食店とのコラボメニュー「とやまクラフト寿司」や、「すしフェスティバル2025」をはじめとする、食と文化を横断する試み。寿司はもはや料理ではなく、富山を読み解くための「鍵」なのです。

その世界観を体感すべく、東京駅を朝7時20分に出発し、富山駅へ。わずか2時間あまりで、空気の密度が変わるのを感じる。

最初の目的地は高岡エリア。
IMG_4209.jpeg 305.73 KB「氷見回転寿司 粋鮨 高岡店」では、寿司と工芸の融合という、富山ならではの体験が待っていた。美しい器にのせられた一貫一貫は、氷見の魚の生命力と、用の美を知り尽くした工芸の感性が静かに共鳴する。回転寿司という日常的な風景の中に、富山の美意識がきちんと息づいていることに、はっとさせられる。
工芸と人、伝統と今が、ゆるやかに、しかし確かにつながっていく。

IMG_4212.jpeg 312.04 KB清都酒造場の日本酒「勝駒」で乾杯。
ものづくりに関係する人々の出逢いをつなぎ、ものづくりを未来へとつなぐ活動を実践するツギノテ実行委員会と地元で永く愛される名店 氷見回転寿司粋鮨の高岡店とコラボレーション。

IMG_4211.jpeg 254.84 KB粋鮨高岡店では、11月11日から、富山県内の24人の職人・作家が技を奮い制作した「わたしたちの、工芸寿司皿 SUSHI PLATE」を使った「氷見朝とれ三種」と「自家製三種」を楽しむことができる。


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富山県で活躍する24人の工芸作家さんが漆芸、彫金、金属着色・塗装、彫刻、ガラスといった400年以上受け継がれてきた技で「回転寿司の皿」をモチーフにした44種類の一点ものの寿司皿で富山湾の極上寿司に舌鼓。
幸せなひととき。

富山湾の水深は約1000m、立山連峰の標高は約3000mで、この4000mもの高低差の分だけ味わいも深く、多彩の魚介が獲れるのだそう。その形状から富山湾は天然のいけすとも言われていて魚たちもストレス無く捕獲されるそうです。

IMG_4215.jpeg 314.77 KB射水エリアでは、新湊内川のIMATOにて、富山湾の魅力に耳を傾ける。

IMG_4206.jpeg 272.48 KB射水市の新湊地区を流れる「内川」は映画のロケ地としても知られ、約3.5kmの内川の両岸には、漁船が連なっていてノスタルジックな雰囲気漂う港町。内川は橋も個性的で橋の下ぎりぎりに船が通っていくのが面白く橋巡りをしたくなります。
朝、焚火を焚きながら出航する船は何とも風情があるそうで、漁港で過ごす旅にも興味が湧いてきました。

IMG_4218.jpeg 370.24 KBそして、この地ならではのハイライトが「昼競り」。全国的にも珍しい、新湊漁港での昼競りを間近に見学し、競り人の威勢の良いかけ声が響く中、蟹が競り落とされていく様は活気があり見応えがありました。


IMG_4219.jpeg 419.39 KBIMG_4220.jpeg 368.89 KBみなとキッチンでは富山湾の冬の象徴たらばカニの身を取り出し、酢飯の上にカニの身を敷き詰め押し寿司づくりを体験。ここでは海と人の距離が、驚くほど近い。


富山エリアへ。
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11月販売開始した「富山ノ酒と寿司シリーズ」や、とやまクラフト寿司を通じて、寿司と地酒の幸福な関係を再認識する。寿司は単体で完結するものではなく、土地の水、米、発酵文化と溶け合って、初めて“ローカルガストロノミー”として完成するのだ。

IMG_4229.jpeg 328.04 KB旅の締めくくりは、「鮨 順風満帆」。
2026年3月開校予定の寿司職人養成校にも関わるこの店で味わう寿司は、伝統と未来を同時に感じさせる一皿一皿。




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香箱には辛口純米大吟醸 北洋を合わせて。
富山湾の魚介、肥沃な大地で育てられたお米、立山連峰の雪解け水などを使い美味しい寿司が完成する究極のアンサンブル。
ここでも、寿司は単なるごちそうではなく、文化の継承装置として存在していました。

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見慣れた寿司という風景も、少し角度を変えて覗いてみれば、そこには別世界が広がっている。
寿司こそ、ローカルガストロノミー。

そして今、その最前線に立つのが、富山なのです。

これまで通り過ぎていたのが嘘のよう・・
「ニューヨーク・タイムズ紙」が「2025年に行くべき52カ所」に日本からは富山と大阪が選出された所以が分かりました。

近々また大人の遠足に訪れたい。

▶︎ 寿司といえば、富山 公式サイト
https://www.pref.toyama.jp/sushitoyama/